小学5年生の娘を持つノリコさんが
探Q(学習)デザイナーのKに尋ねます
学びの形が変化している
探Q(学習)デザイナーって なにする人なの?
お子さんが、学校でこんなカモメの絵のリーフレットもらってきませんでしたか?
覚えてない、たぶん毎日いっぱいプリントを貰ってくるから..
実は今、日本の教育が、明治以来150年ぶりに大きく変わろうとしているんです
へぇ~知らなかった、
なぜ、変える必要があるの?
社会が求める人物像が変わってきています。日本は、そこの対応が他国よりも遅れていて、「社会への当事者意識が低い」子供が多いというデータが出ています。
日本経済が何十年も停滞している原因もそこにあるという人も多いです
それで、最近は英語だとか、プログラミングだとかを早くから学びましょうということになっているのね!
それは、「何を学ぶか」のお話ですね。それも大事だけど、もっと大事なのは「どう学ぶか」です
探Q学習とは
授業のやり方が変わっていくということ?
その通りです。教科書やドリルに出てくるものを考えたり暗記し、自分一人で、たった一つの正解にたどり着く そんな勉強は時代遅れ!
何が問題(課題)かを自分で見つけ出し、解決法を仲間と一緒に調べ、考え、自分なりの答え(最適解)にたどり着く これからは、そんな勉強法に変わっていきます
ぜんぜん違う、それって大人が毎日やっていることで、学校の勉強とは違う!
そうですよ。だって、教育基本法という法律にも、「学校というのは、国や社会の一員となるために必要な力を養うところです」と書かれてます
そうよね
本来学校は、大人になる準備をするところよね!
世の中で役に立たないことを教えているのなら、その方が問題です。
それを身に付ける学習法が、探究学習であり、プロジェクト型学習(PBL)なんです!
さっきのリーフレットにそういうことが書かれています!
しまった、そんな大事な話なら、ちゃんと目を通しておけば…
もっと、詳しく教えてよ
はい、探求学習は、「総合的な学習の時間」などで用いられる、自ら「問いを立てて」、その解決に向けて情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく学習法です。
「問いを立てる」っていう表現、最近時々耳にするけどどういうこと?
「解決すべき問題を設定する」という意味です。大人の世界では、「何が問題か」までたどり着けば、「解決は目前」ということも多いでしょ。
まさしく「問いを立てる=なぜなんだろうと考える(Question)」が大切。だから、「たんきゅう」の「きゅう」は、クエスチョンの「Q」にしています。
なるほど、テレビ番組で池上彰さんが「いい質問ですね~」と子供をほめているのは、そいう意味があったのね
じゃあ、もう一つの「ぴ~び~び~」とかいうやつは何?
プロジェクト型学習とは
いえ、PBBではなくPBLですね
Problem Based Learning(課題解決型学習)を略してそういう場合もありますが、
Project Based Learning(プロジェクト型学習)のことです。
プロジェクト?そういえばうちの「おと~さん」が最近、会社の販売促進プロジェクトチームに配属されたとか言ってたけど、その「プロジェクト」のこと?
はい、それです!!
何か大事な課題を解決するために、限られた期限内に、限られた予算や人員で、役割を分担し、協力しあい、試行錯誤を繰り返しながら、何らかの結果を出す
それを「子供のうちから、ドンドン経験しよう」という学びのスタイルです。なので、探求学習とPBLは、すごく親和性があります。
受験に役立つのかな?
なんか、大人になってから役に立ちそうなことはわかってきた。
でも、こんな勉強ばかりしていて、学校の成績は大丈夫なの?
はい、例えば歴史の勉強もこれまでのように「年号を暗記する」ことから「なぜ、こんなことが起こったのだろう」を考える勉強に徐々に変わってきています。
東京の渋谷区では、学習指導要領というのを工夫して「午後からは、すべて探求の時間」にするという試みが始まっています
でも、入試にはどうなの?最近、東京の方では、クラスの半分近い子が中学受験をするって聞いたけど
その入試で最近、時事問題を題材に「あなたならどう考える」的なものが増えてきています。
当然、決った答えがあるわけではありませんから暗記など意味がありません。探求的な学びにどれだけ慣れ親しんでいるかが「試されます」
なるほど!
確かにせっかく暗記してもテストが終わればすぐ忘れちゃうことって、多かった気がするな~
ラーニングピラミッドって聞かれたことありませんか?(下図)
「講義を聴く」、「書かれたものを読む」より、「討論」、「体験」、「他人に教える」ほうが学習定着率(学びが身に付く可能性)は高いと言われています。
また、外部の協力を得て実施する学習ほど、その効果は高まります。
本当、そうよね!
ひとりで勉強するより、みんなで話し合ったり、自分が知ったこと気付いたことを他人に伝えるほうが、「自分の身に付いた」と実感できるわ!
「教育」よりも「共育」ね
大切なことは、国語や算数など個別の教科でも、自分で調べ考え、他人と話し合う習慣をつけることですね。その学びを組み合わせて、課題を解決することを数多く経験する
そして、偏差値がどうこうではなく、「自分に合った経験」を積める場として進学先を選ぶ
こういう形で子供たちが育っていく「仕組み」を社会全体で作り出すことですね
なぜ、デザイナー??
ところで、この探Q(学習)デザイナーの「デザイナー」って、どういう意味?
こういう学習スタイルを宣伝するチラシなどを作るお仕事かしら?
日本ではデザイナーと言えば、主に目に見えるものの形を設計する人のことを指します。グラフィックデザイナー、ファッションデザイナー、プロダクトデザイナーなどが代表例ですね。
えっ、海外では違うっていうこと?
はい、本来デザインには、課題解決や目的達成のための「設計」という意味があります。目に見える「形」だけでなく、「仕組み」そのものを組み立てる人が「デザイナー」です
知らなかった~
ちなみに、世界で一番デザインの意味を正しく理解し、自らのビジネスに活かした人 誰かご存じですか?
え~と、ルイ・ヴィトン、ガブリエル・シャネル それとも アントニ・ガウディかしら
"Design is not just what it looks like and feels like. Design is how it works.”
(デザインは、ただ見え方やどう感じるかということではない。 それがどう作用するかだ)
アップルの創業者、スティーブ・ジョブズの名言です
探Qにデザインが必要?
確かにアイフォンは、見た目や機能だけでなく、全体をうまく組み合わせ「仕組み」自体にワクワクするから世界中で売れ続けているのね、デザインってそういうことか!
でも、「探Q学習をデザインする」って、イメージが湧かないわ?
はい、少しずつ教育現場で探究学習が導入されていますが、残念ながら「な~んちゃって探求学習」も、チラホラ見られます。それは、デザインの視点が欠けているからです。そして、「先生の専門性」が邪魔している事例も見られます
また、訳の分からんこと言い出した!
学校の勉強なんだから、先生が教えるのが当たり前でしょ
いえいいえ、「おと~さん」が参加している販売促進「プロジェクト」を例に、「ある商品の売上を増やすには」という課題を探求するケースで考えてみましょう
Question(なぜ?)が一番大事です。「なぜ売れないのか」その原因を探るために、さまざまな得意分野を持つ人が集められるのが「プロジェクトチーム」です
うちの「おと~さん」も、「技術に詳しいからメンバーに選ばれた」と言ってたっけ
プロジェクトというのは、異なる得意分野や視点を持つ人が集まり、意見を出し合います。商品が売れないのなら
それぞれの問題点と解決方法を調べ、考え、そこから優先順位をつけて実行しながら「最適解」を見出します。従来の学校の勉強じゃないので、「すぐに出る答え」などはありません。
正解ではなく最適解???
ちょっと待って、「最適解」って何?
あんまり難しい言葉使わずに、わかりやすく教えてよ!!
「正解」というのは一つの明確な解ですよね。例えば「1+1」の解は、「2」しかありえません。でも、「最適解」は、状況を分析して導き出した、現状、最も適した答えのことです
ひょっとして、「やり方はいろいろあるけど、わが社の置かれている現状なら、今はこれがベターだ!」とか、「去年より景気が悪くなったから、景気が戻るまではこうせざるを得ない」みたいなやつね!
な~んだ、大人の世界の「答え」のことか
そのとおりです
じゃあ、「先生の専門性」が邪魔しているって、どういう事よ!
探求学習、プロジェクト学習なので、何が問題か(技術、販路、宣伝方法)を子供たちが自分で調べ、考え、試行錯誤して、「唯一の正解ではなく最適解」を見いださなければなりません。それが「真の探求学習、真のPBLです」
そりゃそうよね、最初から問題がはっきりしているのなら、プロジェクトチームなんかいらないでしょ
ところが、学習の現場でよく見受けられるのが
大学の経営学の先生がゼミでやるなら最初から解決法を「販路の問題」に寄せがち
中学の物理の先生なら、最初から解決方法を「技術の問題」に設定しがち
もっとひどいのは、会社の社長さんが自社のイメージづくりにPBLを利用しがち
それって、大人の都合よね
教育なんだから「子供ファースト」じゃないと!
私PTAの役員やってるから、教育委員会の偉い人に文句言いに行こうかしら
はい、だから「探Q(学習)デザイナー」が必要なんです。「探Q(学習)デザイナー」には、特定の専門分野はありません。その代わり、最適解にたどり着くための、考え方、手段、方法などには詳しいです。
また、「失敗したことも含めて」プロジェクトに関わった経験をたくさん積んでいます。そして、STEAM、経済・経営、環境、コミュニケーション、表現など、課題解決に必要とされる、ありとあらゆるジャンルのスペシャリストを、たくさん存じ上げています。
なるほど、本当のプロジェクトをたくさん手掛け、最適解を導き出してきた経験を持っているということね!
そうです。付け加えるとしたら、そのプロジェクトを通じて「指示を待つのではなく、自ら考え行動する人」をたくさん生み出しているということです
ちなみに、私がこれまで手掛けてきたプロジェクトは、
こちらからご覧いただけます
なるほど、よく分かったわ。
でも、最後に素朴な疑問。じゃなかった「いい質問」
そもそも、それって全部、学校がやるべきことなの?
そもそも学校とは
はい、とてもいい質問ですね。
最初に、教育分野における明治以来の大改革だというお話しをしました。
では、江戸時代や明治初期はどうだったんでしょう
え~っと、江戸時代には寺子屋とかいうところが、いっぱいあったと習ったけど
はい、江戸時代は全国の寺子屋で、近所の大人が子供を集め、読み書きそろばんなど、大人になったら必要なスキルを教えていました。
そのおかげで、当時の江戸の町民は、パリやロンドンの市民より識字率(文字を読み書き理解できる人の割合)が高かったと言われています
その寺子屋が明治になって小学校になったんでしょ?
そいうケースもありますが、京都の街中ではまず「番組小学校」という組織がつくられました
聞いたことない!
国立や公立ではなく、市民が自分たちのお金を出し合って作った学校です。
詳しくはこちらで。
ふ~ん、偉いわね
でも、それだけじゃありません。その学校には、集会所、役所、防犯、消防などの機能があり、住民のコミュニティや公の機能を持ち合わせている「地域に開かれた場所」でした。
当然、子供たちは地域の課題に向き合う大人の姿を、目の当たりにしながら「社会の一員として必要なこと」を自然に身に付けていきます。
今の学校は、校門が閉ざされ、身分証明書がないと中に入れないから随分と違うわね
もちろん、最近は学校を舞台に、残念な事件がたくさん起こっていますので、まったく同じようにはいきません
でも、昔の番組小学校のような「場」があれば、地域が抱える様々な課題を、大人と子供が一緒に、プロジェクト型で解決していくなんてこともできそうですね
探求学習とまちづくり
アナタのお話を聞くまでは
「大人と子供が一緒に、地域の課題をプロジェクト型で解決」って、まったくイメージわかなかったけど、なんか、本当にできそうな気分になってきたわ
もしそんな機会があれば、私も親子で参加しようっと!
探求(学習)デザイナーさん、頑張ってくださいね。
はい、探Q(学習)デザイナーは、「未来の街の主役」である子供たちと一緒に、学習のデザインだけでなく、町全体もデザインしなおします。
→詳しくは、こちらの動画(youtube)でお話ししています
教育だけでなく、福祉、防災、環境、都市計画、産業振興、安心・安全など、様々な場面で、課題を発見し、「みんなで町の未来を考える」
そんなときに「探Q学習」は、きっとお役に立てますよ!!
最後にもう一つだけ「いい質問」
なぜ、探求(学習)の学習に括弧が付いてるの?
いつ、その質問が来るのか、ずっと待ってましたよ!
本当は、「探Qデザイナー」と名乗りたいんです。
でも、まだまだ探求というのは「勉強の世界」の中でしか取り上げられていません。
私は、勉強は「やらざるを得ないもの」、学びは「一生続けるもの」だと思っていて、
しかも、その学びは「問いを立てる→自ら調べ考える→何かに気づく」の繰り返しだと考えます。
そして、その学びの先には「ゆたかな〇〇」があると信じてます。
〇〇って、何よ!
はっきり言いなさいよ!
〇〇は人それぞれ違います。その〇〇こそがその人にとっての、「価値観」とか「軸」とか「コア」と呼ばれるものです。
探Qが学びのスタイルの一つではなく、「ゆたかな〇〇」を得るためにすべての人に欠かせないものととらえられるようになれば、(学習)は肩書から外しますし、早くその日が来るよう「探Qのデザイナー」として頑張ります
探求(学習)デザイナーの仕事に、少しでも興味をお持ちになり、一度お話ししてみたいと思われた方!
ぜひご連絡ください。お待ちしています。(とりあえず一度雑談し、お互いの「想い」を語り合うだけで十分です。相談料も何も必要ありません。)